遠心力だけ強めて、組織は保てるのか?
こんにちは、プロパト代表の飯田です。近年、多くの企業が「働き方改革」や「心理的安全性」の旗印のもとで、自由で柔軟な働き方を推進しています。
「副業OK」「フレックス制」「出社義務なし」「あなたらしく」
どれも素晴らしい取り組みですし、私自身、自由な働き方は大賛成です。
ただ、それらの取り組みは“遠心力”だということを忘れてはいけない。
つまり、個人が自分の価値観やライフスタイルに向かって離れていく力。
では、反対に…求心力は、今どうなっているのでしょうか?
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「会社に来ないけど、会社を語る人たち」
あるクライアント企業様での出来事です。
20名ほどのスタートアップで、働き方の自由度は高く、副業もほぼ全員がやっている状態。
ある時、代表がポロッとこんなことをこぼしました。
「うちの社員、オフィスには全然来ないのに、外では“うちの会社、イケてます”って言ってくれてるらしいんです。でも…本当にそう思ってるのかな?ってふと、不安になる時があるんですよね。」
自由に働くことは尊重されている。
でも、「この会社の一員であることを誇りに思っているか?」と問うと、どこか曖昧になる。
リモート、副業、自己実現。
個がどんどん輝いていく中で、気づけば“組織”はぼやけてしまう。
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「らしく」の先にあるもの
「あなたらしく働いていいよ」
このメッセージはたしかに力強い。でも同時に、それだけでは“仲間”という感覚は育ちづらい。
人は、自分を大事にしてくれる場所にこそ、愛着と感謝を抱きます。
でもそのためには、ただ自由を与えるだけでなく、“共にある”という実感をどうつくるかが大切です。
たとえば、「感謝を伝える時間」を定期的に設けている企業様もあります。
月一回は対面で集まり “Thanks Time” をつくり、「○○さん、先週の提案資料ありがとう!あれで商談がスムーズに進んだよ」「★★さん、いつも細かい所まで指摘してごめんね!おかげで、お客様からも評価と感謝の言葉いただいてます!」といったやりとりがなされる。
小さな仕掛けかもしれませんが、そこには確実に求心力が生まれています。
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自由と一体感は、両立できる。
「自由な働き方」と「強いチーム感」。
この2つは、決してトレードオフではありません。むしろ、意図してつくらないと共存しないのです。
第二創業期の企業こそ、ここに真剣に向き合うべきだと思っています。
・副業を認めるなら、「戻ってくる場所」だと感じてもらう努力を。
・心理的安全性を高めるなら、感謝と敬意の文化をセットに。
・「らしく」を認めるなら、「共に」を育む場も用意する。
遠心力が高まる時代だからこそ、
我々は「求心力のデザイン」をもっと真剣に考えなければならないのかもしれません。
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組織は「仕組み」だけでなく、「空気」によっても創られている。今こそ見直すタイミングかもしれません。
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